「シエラにつつまれて」~歩き出すまでが楽しいわけさ~

朝起きてテントから出るとやっぱりでかい。
正面に見える岩がでかい。
そんなことからもここが日本ではなくヨセミテにいることを実感させる。

パッキングを終わらせ昨日下調べしておいたバス停へ向かう。
大きなザックを背負ってハイキングに向かうひと、荷物は水筒と弁当ぐらいでピクニックなひと、サトヤマ感覚でここに来れるひともいるんだろうなぁとうらやましいような気もしたが、なぜか地元のサトヤマに無性に行きたくなった。アメリカにいるのに。

そうこうしているうちに定刻通り出発。
どんな景色がまっているかなぁとわくわくしていると、ドライバーさんと運転席後ろの学生らしき二人組の会話がどんどんヒートアップしていく。
ドライバー「ぺらぺらぺら」
学生「ぺらぺらぺら!」
ドライバー「オー、マイ、ガァ!」
何を話ししているかわからないが、運転そっちのけで話すドライバーさんの身振り手振りと、学生たちの白熱ぶりから察するに、かなり楽しい話をしていたのだろう。1ワードもわからず聞いていたが、この話がほんの少しでもわかると100倍アメリカを楽しめるんだろうなと思った。

「ここはマジでサイコーだぜ!」
と言いながら、ヨセミテ国立公園を一望できるところでバスを止めてくれたが、写真も撮る時間もなくすぐに出発。「あんたはいつも通るんだろうがわたしたちは初めてなんだ!」と伝えたかったがまた楽しそうにおしゃべりしているドライバーさんを見ていたら、このバスに乗っていること自体が楽しいことなんだなぁと思えて幸せな気持ちになれた。
バスに揺られること2時間半。
隣から聞こえる楽しいおしゃべりも2時間半。
ようやくTuolumneへ到着。

そして、ようやくオレたちのトレイルヘッド「Lyell Canyon Trailhead」へ。
何回も伝えているが、ようやく始まる。
いざ、ジョイン!ジョンミューアトレイル!
text by タカハシ サタヤ

